山田覚書

26インチのシングルスピードマウンテンバイク

Posted on Mon 02 December 2019 ( 2019-12-05 update ) in bike

シティサイクル仕様のMTB

2017年5月のSDA王滝を走ってみて、サスペンションのないクロモリ製の26インチマウンテンバイクはちょっとしんどいという経験を得られた。そこで、翌2018年5月のSDA王滝以降はJamisのDragonslayerに乗り換えることにした。On-Oneの456 evo2というフレームは悪いものではないので父用の自転車に転用することにした。

On-One 456evo2 シティサイクル仕様

本当に紆余曲折を経てシティサイクル風味なスタイルに落ち着いた。

トップチューブがあるものの乗り降りがしやすい子供用自転車としても26インチは存在するし、身長の低い大人でも乗りやすく調整がきくのが26インチマウンテンバイクの良いところだと思う。

まず、父に乗ってもらうにあたりコンポーネントを交換することにした。あまり「いまどき」仕様にしてしまうと盗難が怖いので、適度に安物らしさをだせるように心がけた。

コンポーネントは、SRAMのNXのフロントシングル11速からAltusを中心とした8速に変更した。やはり頑丈さが評価できるし、壊してしまっても惜しくないというのは大事だと思う。ただ、ホイールがシマノな時点であまり功を奏しているとは言い難い気もするけれど……。よしとしておく。

特徴的な変更は2点。加齢により身体の柔軟性が低くなったためか、イーストンのフラットバーだとどうも遠く感じるらしいのでシティサイクルのようなハンドルに変更した。これでかなり手前でハンドル操作ができる。上体が起きてくると体重はどっかりとサドルにかかることになるのでスポーツサドルではどうしてもお尻が痛くなる。これまたシティサイクルのスプリングクッション付きのものに換装した。

またブロックタイヤは自転車を大きく見せるようで乗降が大変だという訴えがあった。コンチネンタルのX-Kingをやめて、パナレーサーのパセラ ブラックスに交換。1.5インチ幅なので2.3インチ幅のX-Kingからスタンドオーバーハイトもちょっとだけ低くなることになった。さらにスタンドもつければマウンテンバイクらしからぬスタイル。

適度にというかかなりダサい感じになったので良い塩梅なんじゃなかろうかと感じた。

シングルスピード仕様のMTB

そこから1年以上、父にはマウンテンバイクだった自転車に乗ってもらったんだけれど、チョイ乗り用にサイクルベースあさひで購入したアウトランクに興味を示して乗り換えたいとのことだった。

たしかに軽い自転車だものね。24段変速の自転車はちょっと重たいかもしれない。

自分自身の街乗り自転車を、購入したアウトランクにするのか、ミニベロのGIOS Felucaにするのか、はたまたこの456 evo2にするのかと悩ましい状況に陥った。

サイクルベースあさひ アウトランク

あれこれ悩んだ末に父がアウトランクに乗りたいというので、On-Oneの456 evo2を自分用の街乗りマウンテンバイクとして再生することにした。

マウンテンバイクのシングルスピード化は簡単といえば簡単なのかもしれない。コツさえわかればそれほど難しいこともない。せっかくマウンテンバイクとして組み直すのだから、ちょっと特徴をつけて組み上げることにした。

部位 製品名
フレーム On-One 456 evo2
フォーク Surly Instigator 1.0 Fork
ホイール Shimano WH-MT15-A
タイヤ Continental X-king 26x2.3
ハンドルバー Easton EA50
ステム Easton EA50
ヘッドセット Cane Creek 40
ボトムブラケット SRAM GXP
クランク SRAM NX 32T
チェーン 8-speed
ペダル Nukeproof Neutron EVO
リアコグ FOURIERS 18 teeth
シフター なし
フロントディレーラー なし
リアディレーラー DMR Simple Tension Seeker
ブレーキレバー ノーブランド
ブレーキ BR-R317
サドル Selle Italia X-1
シートポスト Easton EA50

On-One 456evo2 シングルスピード化

ひとまずSDA王滝の時の仕様に戻すような感じで組み立てを進める。

Selle ItaliaのサドルやEastonのシートポスト、シマノのホイールとContinentalのタイヤ。各パーツを王滝仕様に戻していく。クランクもSRAM NXにする。ここからがシングルスピード化の作業になる。

シングルスピード用のコグと変速機のつくフリー用のコグでは形状が異なる。一流ブランドの製品があるわけではないので、汎用的な製品を中国から仕入れることにする。ギアの歯数はこれが良いといった基準はない。あらかじめ変速せずに街中を走ってみて程よいギアを選んだら18Tだった。ダメならあとから変更すれば良い。

シングルスピードにすることによりチェーンの張り具合も気にする必要が出てくる。だらんだらんではチェーンが外れてしまって自転車としての体をなさないからだ。試みにフロント32Tのリア18Tでチェーンを張ってみる。それほど弛んだ感じはしないけれど念の為チェーン脱落を防止するためにチェーンテンショナーをリアディレーラーのあった場所に取り付ける。ちょっとチェーンを押し上げてあげてるだけなのでほんとに気休め程度。たぶんなしでも平気だと思う。

普通のマウンテンバイクはJamisのDragonslayerがあるので、456 evo2はシングルスピードにした。どうせならとドロップハンドル仕様にする。

マウンテンバイクのドロップハンドル化は久しぶり。自転車のことにちょっとだけ詳しくなってきた今となってはシクロクロスやグラベルロードを用意した方がいいのは承知しているんだけれどやっぱりいいよね。ドロップハンドルマウンテンバイクにはロマンがある。

今回は中国製のノーブランドのブレーキレバーで機械式のディスクブレーキを操作している。ちょっと牽き量が合っていない気もするが機能はする。シリアスな運転はしないし。

まとめてみるとやっぱり悪くない。いい佇まいじゃないか。

日本人の平均的な体格ならば26インチホイールってちょうどいいよね。ドロップハンドル仕様のオフロード車なら700cよりも650Bだし、26インチの方がより取り回しが良いように思う。車輪径が小さくなることによりスピードを出して走るとかそういった能力はちょっと劣ってくるかもしれないけれどちょっとした散歩にはいいんじゃないかな。メーカーも企画すればいいのに。

ドロップハンドル仕様のMTB組み立てはシマノからGRXなどのコンポーネントが登場したことにより、比較的簡単に実現できるようになったと思う。今回もドロップハンドル仕様でシングルスピードなマウンテンバイクを組み立ててみて感じることがいくつかある。

例えば、フロントアップで段差を乗り越えるとしよう。グッとハンドルを持ち上げる時に車体の重さを感じる。なにしろ400mm前後のドロップハンドルでは幅広なフラットバーのようにはいかない、より多くの筋力を使うように思う。腕立て伏せの時に手をつく幅で違いがあるのと一緒の話だ。シクロクロスくらい車体が軽ければ違いも気にならないだろう。トレイルを走るなら、相当に幅広かったり、末広がりなドロップハンドルを採用するのも理解できる。

ドロップハンドルとマウンテンバイクの組み合わせでは、ハンドル幅と車体重量のバランスが良いとは言えないと感じるのだ。

ギアードのマウンテンバイクをドロップハンドルにするよりは、シングルスピードのマウンテンバイクをドロップハンドルにする方が幾分まとまりがあるように思う。しかしながら、マウンテンバイクとしての魅力を削いでいるように思うので、フルリジッドのシングルスピードマウンテンバイクかシクロクロスバイクを素直に選んだ方が良いと思う。

ママチャリ仕様のMTB

いよいよバーテープを巻こうかというタイミングで父はアウトランクをやめてマウンテンバイクに乗りたいと言い出した。

小さなタイヤではやはりスピード維持が大変なようだ。サイクリングには適さないらしい。まあ、そうだろう……。せっかく組み立てたドロハンMTBをふたたび組み替えすることになった。

父としては重いマウンテンバイクを嫌い、軽くて小さな折りたたみ自転車を選んだようだったけれど、やっぱりよく走る自転車がいいみたい。

On-One 456evo2 ママチャリ仕様

シティサイクル仕様を復活させても芸がないので「ママチャリ」仕様にすることにした。

シングルスピード仕様はそのままで、ハンドルとサドルをシティサイクル仕様に。変速機能を外したので軽量化に繋がる。ほぼママチャリの仕様にしてみることにした。

変速機がなくなったことにより父から苦情がでるかとも考えたがどうやら問題ないみたい。往復2時間くらいの川沿いサイクリングにも問題ないようだ。

これで456 evo2の余生は固定されたのかな。

マウンテンバイクをドロップハンドルにするメリットやデメリットは概ね体得することができたので良い経験になった。

オフロードをドロップハンドルで走りたければグラベルロードやシクロクロスを選ぶべきだ。

マウンテンバイクをドロップハンドルにするくらいなら、シングルスピードにして軽量化した方が楽しみ方は広がるだろう。なんならサスペンションフォークをリジッドフォークにしてみたらさらにその特徴が際立つことだろう。軽いマウンテンバイクはとても楽しい。実は変速機なんかなくたってマウンテンバイクの素晴らしさは決して変わらない。